04環境とは?
04環境とは2004年11月25日(FLAMING ETERNITY発売日)時点の遊戯王OCGのカードプールで構築したミラーマッチ限定対戦を指します。
2004年までのカードプールで構築されており、現環境では禁止カードに指定されているカードも多数。カードの効果もまた2004年11月25日(FLAMING ETERNITY発売日)時点の効果に準拠するため、以後のエラッタの対象外です。
ミラーマッチのためデュエリスト同士のプレイングの腕の競い合いが重視される、チェスのような奥深い読み合いが楽しめます。先行有利の環境のため、デュエルは2戦。一回ずつ先行後攻を入れ替えるのがルールです。
2004年当時の環境をもとに作成された構築固定ミラーマッチ
04環境が準拠する2004年の環境とはどのような状況だったのでしょうか。遊戯王OCGに置いて2004年は、第3期〜第4期に当たります。
ちなみに遊戯王OCGの第3期は「サイエンカタパ」「デビル・フランケン」「ラストバトル!」など1キルデッキが猛威をふるった時期であり、遊戯王の歴史上黒歴史に位置付けられることが多いです。
この時期に1キル対策を研究し、生まれたデッキの1つが「ジャマキン」。
《おジャマトリオ》で相手のモンスターゾーンを奪いつつ、《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》《光の護封壁》《拷問車輪》で相手の攻撃をロック。《マジック・キャンセラー》で魔法カードの使用を禁じて相手をロック状態に追い込み、各種バーンカード等で相手のLPを削っていきます。《おジャマトリオ》は現環境ではチェーンバーンデッキなどに採用されていますね。
第3期の暗黒時代をある程度正常化する材料となったのが、2004年3月に初めて導入されたリミットレギュレーション。極度なパワーカードや先行1キルを可能としてしまうカードを禁止に指定することで、環境に安定をもたらすことを狙いとしたものです。
第3期の暗黒期が過ぎ、第4期に入ると《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》を中心とするカオスデッキが猛威を振るいます。
特殊召喚・効果モンスター
星8/光属性/戦士族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地から光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ除外した場合に特殊召喚できる。
このカードの(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを除外する。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
(2):このカードの攻撃で相手モンスターを破壊した時に発動できる。
このカードはもう1度だけ続けて攻撃できる。
並行して、前述の通りリミットレギュレーションが進み、第2期〜第3期の壊れカードが次々禁止に。翌年2005年には《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》も禁止カードに指定され、デッキの多様化が進みました。
04環境はリミットレギュレーション導入〜《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》の禁止カード指定直前までのデッキを再現した上でミラーマッチ制を導入することで、プレイングの楽しさを体感できるものに仕上がっています。
《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》《光の護封壁》《拷問車輪》などロックカードが特に入っていない一方で、《心変わり》によるコントロール奪取や《ファイバーポッド》によるリセットが可能です。限定されたデッキ構築ながら、様々な戦法が楽しめるでしょう。
東京大学遊戯王サークルによって広く普及
04環境は東京大学遊戯王サークルによって広く普及した特殊ルールです。遊戯王OCGの特殊ルールの中でもっとも普及したルールと言っても過言ではないでしょう。
04環境の特徴
ミラーマッチ
04環境の最大の特徴はミラーマッチであること。ミラーマッチとは即ち互いのデッキ構成が筒抜けであり、情報アドバンテージが存在しないことを意味します。
情報アドバンテージとは
補足すると、遊戯王OCGには「情報アドバンテージ」という考え方が存在します。手札やセットしたカード、デッキトップなどの非公開情報を得ることが「情報アドバンテージ」。
例えば《マインドクラッシュ》は情報アドバンテージを重視する、強力な罠カードです。
通常罠
カード名を1つ宣言する。相手は手札に宣言したカードを持っていた場合、そのカードを全て墓地へ捨てる。持っていなかった場合、自分はランダムに手札を1枚捨てる。
04環境はミラーマッチのため、互いに情報アドバンテージが存在しません。よって1つ1つのプレイングでどのようにアドバンテージを確保するかという駆け引きが勝敗を決めます。
現環境の禁止カードをデュエルで使用可能
04環境は2004年のリミットレギュレーション、マスタールールに準拠するため現環境の禁止カードをデュエルで使えます。04環境で使用できる禁止カードは後半でご紹介します。
ハンデスやドローが簡単
《首領・ザルーグ》は対戦相手に戦闘ダメージを与えるとハンデス、もしくはデッキトップ1枚をデッキデス。《押収》は1000LP払うと、墓地へとハンデス。
《強欲な壺》は2ドロー。
このうち《押収》と《強欲な壺》は現環境では禁止カードです。現環境に比較すると、ハンデスとドローによるアドバンテージの確保が非常にしやすい構築です。ミラーマッチによって互いに情報アドバンテージが存在しないデメリットと、ハンデスやドローが簡単というメリットがちょうどよく均衡しているのが04環境の魅力と言えるでしょう。
04環境デッキレシピ
モンスター | 枚数 |
《カオス・ソルジャー 開闢の使者》 | 1 |
《人造人間 – サイコ・ショッカー -》 | 1 |
《天空騎士パーシアス》 | 1 |
《聖なる魔術師》 | 2 |
《キラー・スネーク》 | 1 |
《霊滅術師 カイクウ》 | 1 |
《異次元の女戦士》 | 3 |
《ならず者傭兵部隊》 | 1 |
《お注射天使リリー》 | 1 |
《イグザリオン・ユニバース》 | 1 |
《首領・ザルーグ》 | 1 |
《魂を削る死霊》 | 1 |
《ブレイドナイト》 | 1 |
《同族感染ウイルス》 | 1 |
《魔導戦士ブレイカー》 | 1 |
《ファイバーポッド》 | 1 |
魔法 | 枚数 |
《光の護符剣》 | 1 |
《強欲な壺》 | 1 |
《心変わり》 | 1 |
《大嵐》 | 1 |
《強奪》 | 1 |
《押収》 | 1 |
《強引な番兵》 | 1 |
《サイクロン》 | 1 |
《苦渋の選択》 | 1 |
《抹殺の使徒》 | 1 |
《早すぎた埋葬》 | 1 |
《スケープ・ゴート》 | 1 |
《増援》 | 1 |
《ライトニング・ボルテックス》 | 1 |
罠 | 枚数 |
《砂塵の大竜巻》 | 1 |
《リビングデッドの呼び声》 | 1 |
《破壊輪》 | 1 |
《激流葬》 | 1 |
《奈落の落とし穴》 | 1 |
《炸裂装甲》 | 2 |
04環境デッキの回し方
04環境デッキはミラーマッチで互いに情報アドバンテージが存在しないため、プレイングが非常に重視されます。一方で現在の環境と比較すると、デュエルが比較的低速で進むことも事実です。
04環境デッキの回し方を見る前に、まずはカード1枚1枚の効果を見ていきましょう。モンスター・魔法・罠の効果を表にまとめます。下記の内容を踏まえた上で、回し方も解説していきます。
モンスター | 枚数 | 効果 |
《カオス・ソルジャー 開闢の使者》 | 1 | フィールドのモンスター1枚を除外し、そのターン自身は攻撃不可。もしくは戦闘でモンスターを破壊した場合もう一度続けて攻撃。どちらかの効果を1ターンに1度発動できる |
《人造人間 – サイコ・ショッカー -》 | 1 | お互いに罠カードを使えなくする効果モンスター |
《天空騎士パーシアス》 | 1 | 相手の守備力を上回った場合、その分戦闘ダメージを与える効果。なおかつ戦闘ダメージを与えた時に1ドロー。 |
《聖なる魔術師》 | 2 | リバース効果で墓地の魔法カードをサルベージ |
《キラー・スネーク》 | 1 | スタンバイフェイズに墓地にいた場合手札に戻る |
《霊滅術師 カイクウ》 | 1 | 相手は墓地を除外できず、なおかつこちらは戦闘ダメージを与えた時に相手の墓地から2枚除外 |
《異次元の女戦士》 | 3 | 相手モンスターを戦闘後、自身とその相手モンスターを除外 |
《ならず者傭兵部隊》 | 1 | 自身をリリースして相手モンスターを破壊。裏側守備表示モンスターも破壊可能 |
《お注射天使リリー》 | 1 | 2000LP支払うことで攻撃力が3400になる |
《イグザリオン・ユニバース》 | 1 | 一時的な弱体効果と引き換えに、直接戦闘ダメージを与える貫通効果を得る |
《首領・ザルーグ》 | 1 | 相手に戦闘ダメージを与えるとハンデス、もしくはデッキトップ1枚をデッキデス |
《魂を削る死霊》 | 1 | 戦闘耐性を持ち、魔法・罠・効果モンスターの対象に取られると破壊される。直接攻撃によってハンデス |
《ブレイドナイト》 | 1 | 手札が1枚以下の場合に攻撃力アップ。リバース効果を発動させない効果持ち |
《同族感染ウイルス》 | 1 | 手札コスト1枚を支払うことで、宣言した属性を全て破壊 |
《魔導戦士ブレイカー》 | 1 | 召喚成功時にカウンターを乗せ、カウンターを除去することで魔法・罠を1枚破壊 |
《ファイバーポッド》 | 1 | リバース効果。互いに手札・墓地・フィールドをデッキに加えてシャッフルし、5枚ドロー |
魔法 | 枚数 | 効果 |
《光の護符剣》 | 1 | 裏側モンスターを表側表示にした上で、3ターン相手は攻撃できない |
《強欲な壺》 | 1 | 2ドロー |
《心変わり》 | 1 | コントロール奪取 |
《大嵐》 | 1 | 互いの魔法・罠ゾーンのカードを一掃する |
《強奪》 | 1 | 《強奪》を相手モンスターに装備してコントロール奪取。相手は1000ずつ回復 |
《押収》 | 1 | 1000LP支払い、ハンデス |
《強引な番兵》 | 1 | 相手の手札から1枚をデッキに戻す |
《サイクロン》 | 1 | 魔法罠カードを1枚破壊 |
《苦渋の選択》 | 1 | デッキの5枚の中から1枚を相手に選択させてそれを手札に加え、残りを墓地へ捨てる |
《抹殺の使徒》 | 1 | 裏側表示モンスター1体を除外。なおかつそれがリバースモンスターだった場合、同名カードをお互いのデッキから除外 |
《早すぎた埋葬》 | 1 | 800LP払い、墓地からモンスター蘇生。蘇生したモンスターに装備。 |
《スケープ・ゴート》 | 1 | 攻守0のトークンを4体生成 |
《増援》 | 1 | 戦士族サーチ |
《ライトニング・ボルテックス》 | 1 | 手札コスト1枚を払い、相手の表側表示モンスターを一掃 |
罠 | 枚数 | 効果 |
《砂塵の大竜巻》 | 1 | 魔法・罠カードを破壊した後に、魔法・罠カードをセットできる |
《リビングデッドの呼び声》 | 1 | 墓地のモンスターを蘇生 |
《破壊輪》 | 1 | 表側表示モンスターを破壊した後、その攻撃力分のダメージを互いに受ける |
《激流葬》 | 1 | モンスターの召喚・特殊召喚・反転召喚時に発動し、一掃 |
《奈落の落とし穴》 | 1 | 攻撃力1500以上のモンスターの召喚時に発動し、除外 |
《炸裂装甲》 | 2 | 相手モンスターの攻撃宣言時に発動し、そのモンスターを除外 |
このように全てのカードを見ていくと、04環境には強力なリバース効果を持つカードが複数存在することがわかります。代表的なカードは《ファイバーポッド》《聖なる魔術師》。
04環境で相手モンスターを破壊する最も簡単な手段は戦闘。しかし闇雲に戦闘を行うと相手にリバース効果を発動され、アドバンテージを奪われてしまうデメリットがあります。例えば《聖なる魔術師》のリバース効果で《強欲な壺》を回収し、一回のデュエルで複数回2ドローを狙っていく回し方は04環境の王道の1つです。逆に言えば、裏側守備表示の段階で《聖なる魔術師》をどのように見分け、除去を的確に行うかが重要です。
上記の通り、04環境では「戦闘」と「効果」「除去」の使い分けが非常に重要。できれば戦闘ではなく「効果」と「除去」によってアドバンテージを確保していきたいところです。モンスターであれば《ならず者傭兵部隊》。魔法では《抹殺の使徒》《心変わり》といったカードが重要となります。これらのカードを駆使してリバース効果を発動することなく、相手モンスターを除去・破壊していくのが基本です。
使いどころを見極めると非常に強力なのが《光の護符剣》。
自分がリバースモンスターを使う場合、モンスターをセットした上で《光の護符剣》を使用することでモンスターを守りつつ、次のターンでリバースして効果を使用可能です。また相手フィールドの《聖なる魔術師》や《ファイバーポッド》の除去に成功していれば、ロックカードとしても使用できます。
一方で使いどころを誤ると、相手の強力なリバースモンスターの効果発動をアシストしてしまうので要注意。こういった読み合いの要素が04環境の魅力ですね。
【04環境デッキレシピ】04環境だから使える!禁止カード解説
ファイバーポッド
効果モンスター(禁止カード)
星3/地属性/植物族/攻 500/守 500
リバース:お互いの手札・フィールド上・墓地のカードを
全て持ち主のデッキに加えてシャッフルする。
その後、お互いにデッキからカードを5枚ドローする。
押収
通常魔法(禁止カード)
1000ライフポイントを払って発動する。
相手の手札を確認し、その中からカードを1枚捨てる。
大嵐
通常魔法(禁止カード)
フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。
強奪
装備魔法(禁止カード)
このカードを装備した相手モンスター1体のコントロールを得る。
相手のスタンバイフェイズ毎に相手は1000ライフポイント回復する。
心変わり
通常魔法(禁止カード)
相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。
このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスターのコントロールを得る。
苦渋の選択
通常魔法(禁止カード)
自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。
相手はその中から1枚を選択する。
相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、
残りのカードを墓地へ捨てる。
強欲な壺
通常魔法(禁止カード)
デッキからカードを2枚ドローする。
04環境のメリット
読み合いが楽しい
繰り返しになりますが、04環境の最大の楽しさは「情報アドバンテージの無さ」による読み合い。通常の遊戯王OCGは相手のデッキ内容の全貌をつかむことができず、ゆえに(デッキ構築のスタイルにもよりますが)情報アドバンテージやピーピングといった戦術が重要性を持ちます。
一方で04環境は互いにデッキ内容を全て把握していることが前提となるため、遊戯王OCGとしては異例の「完全情報ゲーム」のような性格を持ちます。チェスや将棋のようなプレイングが楽しめますよ。
デッキ構築の要素がない
04環境は遊戯王OCGの初心者の方がプレイングを学ぶデッキとしてもおすすめです。理由はいくつかありますが、そのうちの1つはデッキ構築の要素がないこと。
遊戯王OCGには20年の歴史があり、カードプールが膨大。なおかつ改定とリミットレギュレーションが繰り返されたマスタールールは複雑。さらにリンク召喚をはじめとして各種ルールは賛否両論。それらを理由に「遊戯王はオワコン」との声があるほどです。
こうしたマイナス要素や複雑すぎるルールを一旦無視して、2004年当時の環境でプレイングを学べるのは良いことです。デッキも最初から決まっているので遊びやすいです。
初心者でも遊びやすい
上記のような要因から04環境は初心者でも遊びやすいです。対人戦で楽しむのはもちろん、ミラーマッチなので2デッキ用意してソロプレイで回しても良いですね。
旧ルールが新鮮
04環境で地味に今のマスタールールと違うのは、先行ドローが存在すること。ただでさえ先行優位な遊戯王OCGでさらに先行ドローが存在するのは「圧倒的な先行優位」。
先行ドローを禁じる点では現在のマスタールールは、04環境より優れていると個人的には考えます。ですが今とは違う旧ルールで遊べるのはそれはそれで新鮮ですよね。
プレイングの上達
ここまで書いてきたように、04環境は初心者が遊戯王OCGのプレイングを身につけるためのデッキとして最適です。2デッキ用意してソロプレイでプレイングを学ぶのにちょうどいいですし、デッキ構築が最初から決まっているのでそうした点に悩む必要はありません。
04環境を卒業するときにも《カオス・ソルジャー 開闢の使者》や《人造人間 – サイコ・ショッカー -》《光の護符剣》《聖なる魔術師》《リビングデッドの呼び声》などキーカードはそのまま引き継いだ構築をすることも不可能ではないでしょう。
プレイングでアドを取るのが上手になる
カードゲームにおいて「アドバンテージ」という考え方は基本にして最重要ポイント。1ターン1ターンのプレイングでアドを取ることができれば、必然的にデュエルを有利に進められるようになります。
もちろん優勝デッキを丸々コピーしたデッキなどでデュエルをしていれば、普段楽しむ分には十分に勝利できるでしょう。ですがそうしたデッキはリミットレギュレーションに弱いです。例えば《サモン・ソーサレス》頼りのファンデッキなどは改定によって弱体化していきました。
マスタールール改定にも耐えうるデュエリストとしての腕を身につけるのに大事なことが「プレイングでアドを取ること」なのです。
04環境で集めるのが難しいカード
首領・ザルーグ
効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1400/守1500
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
以下の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●相手の手札をランダムに1枚捨てる。
●相手のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。
強引な番兵
通常魔法(禁止カード)
相手の手札を確認し、その中からカードを1枚デッキに戻す。