マナカーブとは
マナカーブとはM:tGで生まれたカードゲーム用語の一つ。どれだけのマナコストがかかるカードを何枚デッキに投入しているかを、マナコスト順に並べてグラフ化したときに綺麗なカードを描くことからこの言葉が生まれました。
そもそもマナとは?
補足として「そもそもマナとはなにか」も解説します。
マナとはTCGで呪文を唱えるためのコストです。
マナに加えて、強力なカードは追加コストが要されることもしばしば。追加コストの例はライフコストの支払いや手札、クリーチャーの犠牲です。
ちなみに遊戯王OCGは数あるTCGの中でも、マナの概念が存在しない特異なゲームです。代わりに存在するのが召喚制限ルールと、召喚や効果発動にかかる追加コストです。
どうしてマナカーブがデッキ構築で重要なのか
M:tGを例に考えてみます。
マナは土地によって生み出されます。土地が一枚以上初手に存在すれば1マナを生み出すことができるため、1マナの軽い呪文は序盤に役立ちます。序盤で重い呪文ばかりが手札にあっても動けません。
一方でデュエルの終盤は土地が磐石で重いマナコストに耐えられます。よって1マナの呪文ばかりでは負けます。
だからこそ、必要な場面で必要なカードを呼び込める配分の検討が大事です。
基本的には軽いカードを多目に投入し、重いカードほど徐々に減らすとグラフは綺麗なカーブを描きます。序盤の安定を重視するか、後半の高火力を重視するかはプレイヤーの美学が試されるところ。
初心者が行いがちなデッキ構築の失敗
M:tGの場合、基本デッキは60枚。
その内訳を
- 土地20
- クリーチャー20
- 呪文20
と等しく三等分にしがちです。
この場合、低コストで高速に展開するデッキを例外として、ほぼ土地不足に陥ります。高速デッキならば土地は少なく、サーチとドロー手段を確保。マナが重視される重いデッキなら土地の比率を高めるべきなのです。
つまり戦法によってマナカーブと総土地枚数は都度検討することとなります。
マナカーブの例
1マナ | 8枚 | |||||||| |
2マナ | 9枚 | ||||||||| |
3マナ | 11枚 | ||||||||||| |
4マナ | 5枚 | ||||| |
5マナ | 3枚 | ||| |
土地 | 24枚 |
確率と期待値
マナの概念を持つカードゲームでのデッキ構築は、確率と期待値計算が重要です。
マナの概念を持つTCGの代表例はM:tGとデュエルマスターズ。デュエルマスターズはM:tGの派生カードゲームとしてWizards社とタカラトミーが共同開発したTCGのため、M:tGから多くのTCGの概念や用語が持ち込まれています。コロコロコミックに連載されていた漫画「デュエルマスターズ」がある時、突然M:tG漫画からデュエマ漫画に切り替わったことも有名ですね。
X枚入れたカードを何ターン目に何枚、何パーセントの確率で引けるのかを事前に算出することで理想的な構築が可能です。
マナカーブから考える基本的な動き
基本的にはコスト通りのカードを、ターンごとに使用できるのが理想的な動きです。
つまり
- 1ターン目にコスト1のカードをプレイ
- 2ターン目にコスト2のカードをプレイ
- 3ターン目にコスト3のカードをプレイ
- 4ターン目にコスト4、もしくはコスト2のカードを二枚プレイ
となります。とはいえ上記に忠実にマナカーブを考慮し、デッキを組むと軽い呪文に偏ったデッキになりがちです。現実的には土地の枚数は20枚前後に落ち着きつつ、必要に応じて代替マナソースを投入。
またあなたがマナカーブではなくコンボ性を重視したいプレイヤーであれば、マナ・コストを踏み倒して墓地から直接クリーチャーを召喚する「リアニメイト」でデッキ構築するのもありでしょう。
マナベースの算出練習
超簡単にマナベース計算できちゃう早見表を作ってみたに掲載されている早見表をベースに、マナベースの算出練習をしてみましょう。
例えばあなたが《強迫》を1ターン目にプレイしたいと考えているとします。
Duress / 強迫 (黒)
ソーサリー
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分の手札を公開する。あなたはその中からクリーチャーでも土地でもないカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーは、そのカードを捨てる。
《強迫》は黒マナ1枚で唱えることができる呪文。相手プレイヤーにクリーチャー及び土地以外のカードを捨てさせる効果を持ちます。加えて「相手の手札を公開させる」効果を持つ点も強力です。相手に手札を公開させることができれば、続く数ターンの展開を予測して手を打つこともできるでしょう。
1ターン目に黒マナ1つを出すためにはデッキに14枚の「黒マナを出す土地」が必要です。つまり《沼》を14枚投入すればOKです。
マナベースの作り方
ここからはM:tGをベースに、マナベースの構築の仕方を見ていきます。
1.土地の枚数の平均的な感覚を掴む
まずはマナを生み出すエンジンとなる「土地」をデッキに何枚投入するべきなのか。60枚という基本のデッキ枚数に対して、何割を土地にするべきなのか。
戦術によって望ましいデッキ枚数は変わります。土地の枚数の平均的な感覚をまず掴みましょう。
土地18枚以下
M:tGにおいて、土地が18枚以下になることは「まずない」と思ってよいでしょう。ほぼ1マナで唱える呪文だけで勝負をつけるような極めて変則的なデッキを組む場合にしか土地が18枚以下になることはないでしょう。
土地19枚~22枚
平均的な枚数です。60枚のデッキのちょうど3分の1を土地に割り当てる場合、概ねこの枚数になります。低マナの呪文を中心に回す低コストデッキとの相性が良い土地枚数であり、4マナ以上の高火力な呪文を入れる場合はもう少し土地枚数を増やすべきです。
土地23、24枚
やや高速よりの中速デッキで主に用いられる枚数です。1マナ〜2マナの軽量呪文を中心に回しつつ、部分的に4マナ以上の呪文を投入。一気に試合を決めるタイプのデッキとなります。
土地25枚
中速デッキの理想的な枚数です。6マナ以上の呪文数枚と、3〜5マナの呪文を大量に採用したい場合に「土地が多すぎず、少なすぎない」ちょうどいい枚数となります。
土地26枚
26枚の土地を投入するのは、コントロール寄りのデッキ。コントロールとは基本的に「相手にやりたいことをやらせない」タイプのデッキです。代表的なカードは《吸収》。
土地を26枚投入した場合、2ターン目に2枚の土地を引く可能性は99%以上。3ターン目に3枚の土地を引く可能性は95%。4ターン目以降も非常に高確率。コスト通りのカードをターンごとに使用する、理想的な回し方をほぼ確実にできる枚数です。
土地27枚以上
土地27枚以上投入するのは、極めてコントロール寄り。呪文を唱えるために大量のマナが必要だが、マナを生み出す土地のサーチ手段がないという場合に「土地を大量に投入する」ことで問題解決しようとするものです。
2.色バランスの検討
黒単や白単など、単色デッキの場合は土地の検討は「総枚数」だけで十分です。しかし2色以上の多色デッキの場合、土地の配分がシビアになってきます。
例えば3色デッキで、土地を以下のように配分したとします。
- 6 島:U
- 4 蒸気孔:UR
- 4 硫黄の滝:UR
- 4 氷河の城砦:WU
- 4 聖なる鋳造所:WR
- 4 断崖の避難所:WR
この場合、生み出せるマナは白:12・青:18・赤:16。白のマナが少なめです。マナベースがきついということは、必要な呪文を必要な時に唱えられない「事故」のリスクが高まるということです。特に序盤の事故は致命傷になりかねません。
2色デッキを組むなら土地の配分は50:50なのか。30:70なのか。3色ならどのように割り振るのか。注力点をしっかり考えておきましょう。
3.土地以外のマナソースを検討
「あのカードも入れたい、このカードも入れたい」と欲張りした上で早見表と照らし合わせると、あっという間に必要な土地枚数が30枚を越えるというのはよくあることです。しかし現実的には理想の土地枚数は24枚前後に収まります。
すると「土地以外のマナソース」の重要性が浮かび上がってきます。24枚の土地を入れた上で、代替マナソースも入れることで必要なマナを担保するという考え方です。
代替マナソース二枚につき一枚土地を減らしてみよう
では代替マナソースはデッキにどの程度投入すべきでしょうか。基本の考え方は「代替マナソース2枚につき、1枚土地を減らす」というものです。
例えばマナブーストカードを大量に入れて、マナコストが重いカードを2ターン目に揃える戦術はM:tGにもデュエルマスターズにも存在します。
実質的な土地の枚数を決める
上を踏まえた上で、実質的な土地の枚数を決めましょう。繰り返しになりますがM:tGはマナカーブも重要ですが、コンボ性も重要です。「土地を23枚にすべきか、24枚にすべきか」と細かい点で悩むなら、とりあえずどちらかにした上で、4のテストプレイに進みましょう。
4.テストプレイしてみよう
3まででできたデッキを回してみましょう。一人プレイするのも良いですし、MTGアリーナで遊ぶのも良いですね。
土地を十分な数引けない場合、総土地枚数か土地構成がおかしいです。例えば単色デッキで土地が引けないなら土地を増やすのが改善策です。
二色以上で土地を十分に引けないなら、異なる色の土地の組み合わせがうまくいってない可能性が高いです。土地配分や色の組み合わせを見直しましょう。