遊戯王カードの「チェーン」とは?チェーンとスペルスピードの基礎知識・裁定を実例付き解説

チェーンとは

遊戯王OCGの「チェーン」とは、一言で表すと「カードを後出しで発動できるルール」を指します。


例えばデュエル相手が《ブラック・ホール》を発動し、あなたがカウンター罠の《マジック・ジャマー》で《ブラック・ホール》の発動を無効化して破壊したとします。

通常魔法
(1):フィールドのモンスターを全て破壊する。

カウンター罠
(1):魔法カードが発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。
その発動を無効にし破壊する。

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上の状況で《マジック・ジャマー》は《ブラック・ホール》よりも後に発動されていますが、先に発動して《ブラック・ホール》の無効化と破壊に成功しています。


上が「チェーン」の典型例です。遊戯王OCGでは1つのカードの発動に対して、別のカードを続けて発動することができます。このカードの発動の連鎖を「チェーン」と言います。

お互いがカードの発動の連鎖を止めると、続いて効果の処理に入ります。チェーンでは1番最後に発動されたカード効果を「最初」に処理します。上の《ブラック・ホール》と《マジック・ジャマー》の場合、《マジック・ジャマー》の効果がまず処理されます。そのため先に発動していた《ブラック・ホール》を無効化して破壊することができるのです。

チェーンブロックとは?

遊戯王OCGではチェーンを繋ぐことを「チェーンを積む」と言います。


例として、先の《ブラック・ホール》と《マジック・ジャマー》の例に戻りましょう。この場合のチェーンは下記のように表されます。

  • チェーン2:《マジック・ジャマー》
  • チェーン1:《ブラック・ホール》

ではチェーン2の《マジック・ジャマー》に対して《神の宣告》を発動するとどうなるでしょう。この場合は、下記のような表記になります。

  • チェーン3:《神の宣告》
  • チェーン2:《マジック・ジャマー》
  • チェーン1:《ブラック・ホール》

このようにチェーンが積まれていく様子をブロックを重ねることに例えるのが「チェーンブロック」です。チェーンを繋ぐことを「チェーンブロックを作る」とも言います。

スペルスピードとは

遊戯王のチェーンには「どの種類のカードが、どの種類に対してチェーンを作ることができるのか」という決まりごとがあります。上の決まりごとを理解するためには、まずスペルスピードの概念を知る必要があります。

遊戯王の魔法・罠カードと、効果モンスターには「スピード」が設定されています。スピードとは文字通り、効果発動の速さのことです。チェーンを積む時は基本的に相手が発動したカード以上のスペルスピードのカードでなくては、チェーンブロックは作れません。

さらに詳しく、スペルスピードとは何かを見ていきましょう。

スペルスピード1

スペルスピード1のカードは以下の通りです。もっともスペルスピードが遅いカードであり、スペルスピード1のカードに対して同じくスペルスピード1でチェーンを作ることはできません。


《ブラック・ホール》に対して《ブラック・ホール》はチェーンできず、モンスターの手札誘発効果に対してモンスターの手札誘発効果でチェーンできないと考えましょう。スペルスピード1のカードのみの状況では、チェーン2以上になることはありません。

  • 通常魔法
  • 装備魔法
  • フィールド魔法
  • 儀式魔法
  • 永続魔法
  • 効果モンスター

スペルスピード2

スペルスピード2は以下を指します。スペルスピード2は、スペルスピード1とスペルスピード2に対してチェーンを作ることができます。

  • 速攻魔法
  • 通常罠
  • 永続罠
  • 効果モンスター(誘発即時効果)

スペルスピード2のカードの代表例は《サイクロン》です。

速攻魔法
(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。

《サイクロン》をはじめとするスペルスピード2のカードでチェーンを積む際、注意すべき点は「破壊効果」と「カードの発動の無効化」の違い。《サイクロン》はカードを破壊しても「発動そのもの」を無効にするわけではありません。


例えばスペルスピード1の《サンダー・ボルト》に、スペルスピード2の《サイクロン》をチェーンすると《サンダー・ボルト》は破壊されます。

しかし《サイクロン》は「効果を無効化した上で、破壊する」訳ではないため《サンダー・ボルト》を破壊しても《サンダー・ボルト》の除去効果は残り、自分フィールドのモンスターは破壊されます。

スペルスピード3

スペルスピード3はカウンター罠です。もっともスペルスピードが早く、スペルスピード3に対してチェーンを作ることができるのはスペルスピード3のみです。

チェーンの注意点

チェーンブロックを作る効果と作らない効果の違い

チェーンブロックとは、効果の発動に対して別のカードの効果を発動することで生成されるものです。つまり「発動による効果」ではないものに対しては、チェーンすることができません。


発動ではない効果の代表的なものは「効果外テキスト」です。

代表的な効果外テキストは、あるカードを別のカードとしても扱うものです。

例えば《トゥーン・キングダム》を《トゥーン・ワールド》としても扱う効果は「発動する」ものではなく、ルールです。そのためチェーンブロックを積んで無効化することはできません。

特殊勝利条件も「効果外テキスト」に該当するものが多いです。例えば《封印されしエクゾディア》の効果テキストは発動するものではないため、チェーンが作られません。

手札誘発モンスターに対してチェーンを積むことはできる?

ここからはさらに詳しく、チェーンの具体例を見ていきましょう。


まずは近年、環境で重要性を増している手札誘発について。手札誘発モンスターの効果に対してチェーンを積むことはできるのでしょうか。

《灰流うらら》と《墓穴の指名者》

結論から言えば、手札誘発モンスターの効果に対してチェーンを積むことは可能です。

上について考える時は《灰流うらら》と《墓穴の指名者》が良い例となります。

チューナー・効果モンスター(準制限カード)
星3/炎属性/アンデット族/攻 0/守1800
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、
このカードを手札から捨てて発動できる。
その効果を無効にする。
●デッキからカードを手札に加える効果
●デッキからモンスターを特殊召喚する効果
●デッキからカードを墓地へ送る効果

《灰流うらら》の裁定はやや複雑ですが、スペルスピードは2に当たります。スペルスピード2のため、例えば相手の《増殖するG》にチェーンして《灰流うらら》を発動することも可能です。

では《灰流うらら》に対して《墓穴の指名者》をチェーンするとどうなるでしょうか。

速攻魔法
(1):相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。次のターンの終了時まで、この効果で除外したモンスター及びそのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。

《墓穴の指名者》は速攻魔法のためスペルスピードが2であり、《灰流うらら》にチェーンして無効化することが可能です。

《神の警告》《神の宣告》はそれぞれ何にチェーンできる?

共にスペルスピード3の《神の警告》《神の宣告》。しかし、それぞれチェーンできる対象が異なります。一言で言うと《神の宣告》はモンスター効果の発動にチェーンできず、《神の警告》はモンスター効果にもチェーン可能です。

神の警告で無効にできる効果

カウンター罠
(1):2000LPを払って以下の効果を発動できる。
●モンスターを特殊召喚する効果を含む、
モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。
それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

《神の警告》は特殊召喚する効果を含むモンスター効果と魔法、罠にチェーンできるカードです。そのため、魔法カードの《死者蘇生》にチェーン可能。同様に《神の宣告》もチェーンできます。

裁定がややこしいのはモンスター効果に対する《神の宣告》《神の警告》のチェーンです。

例えば対戦相手が《冥府の使者ゴーズ》を召喚したとします。

効果モンスター
星7/闇属性/悪魔族/攻2700/守2500
自分フィールド上にカードが存在しない場合、
相手がコントロールするカードによってダメージを受けた時、
このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
この方法で特殊召喚に成功した時、受けたダメージの種類により以下の効果を発動する。
●戦闘ダメージの場合、自分フィールド上に「冥府の使者カイエントークン」
(天使族・光・星7・攻/守?)を1体特殊召喚する。
このトークンの攻撃力・守備力は、この時受けた戦闘ダメージと同じ数値になる。
●カードの効果によるダメージの場合、
受けたダメージと同じダメージを相手ライフに与える。

《冥府の使者ゴーズ》の効果テキストに書かれている特殊召喚は、チェーンブロックを作るものです。そのため特殊召喚を含むモンスター効果に該当し、《神の警告》の対象となります。

一方《神の宣告》は特殊召喚を含むモンスター効果の発動に対応しないため、《神の宣告》では《冥府の使者ゴーズ》の特殊召喚を無効化して破壊することはできません。

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