M:tGには「パワー9」と呼ばれるM:tG初期に発行された圧倒的な強さを誇るカードが存在します。
パワー9は全て再録禁止に指定されており、総発行枚数も少なく、値段は年々高騰しています。パワー9の効果・値段を1つ1つ見ていきましょう。
パワー9の歴史
M:tGの発売年は1993年。パワー9はM:tGの記念すべき最初のパック「アルファ版」に収録されました。
アルファ版が売り切れたのち、同じ内容で再発された”普及版”が「ベータ版」。さらにその後、カード枠を白色に変更して再々発されたのが「アンリミテッド」。
つまりパワー9は歴史上3回発売されており、1枚のカードにつき3種類が存在します。ちなみにカードの査定ではアルファ版がもっとも高く、アンリミテッドがもっとも安くなります。
パワー9四天王
パワー9には大きく分けて《ブラックロータス/Black Lotus》を中心とする4枚と、「Moxシリーズ」と呼ばれる5枚が存在します。この記事では前者を「パワー9四天王」と位置付けて、紹介します。
《ブラックロータス/Black Lotus》
Black Lotus (0)
アーティファクト
(T),Black Lotusを生け贄に捧げる:好きな色1色のマナ3点を加える。
パワー9の1つにして、最も有名なカード《ブラックロータス/Black Lotus》。M:tGのカードで最高の値段が付き、価格の目安は状態にもよりますが数百万円。状態が悪いものでも50万円〜100万円で取引されます。
0マナでありながら1枚で好きな色のマナを3つ生み出すことができ、1ターン目にこれを2つおいたなら、7マナ域に突入することが可能です。好きな色のマナ3点を生み出す性能の高さは、緑のマナ加速を象徴するクリーチャー《ラノワールのエルフ》と比較するとよくわかります。
Llanowar Elves / ラノワールのエルフ (緑)
クリーチャー — エルフ(Elf) ドルイド(Druid)
(T):(緑)を加える。1/1
《ラノワールのエルフ》は1マナで召喚し、緑マナを加える性能を持つことから緑デッキを支える象徴的なクリーチャーです。しかし0マナで好きな色のマナ3点を生み出す《ブラックロータス/Black Lotus》に対しては大きな性能差があります。
アルファ | 700万円 |
ベータ | 280万円 |
アンリミテッド | 88万円 |
《タイムウォーク/Time Walk》
Time Walk (1)(青)
ソーサリー
あなたは、このターンに続いて追加の1ターンを行う。
現代の追加のターンを得るカードは、5コストから7コストが平均的。
たとえば「エルドレインの王権」でスタン落ちした《運命のきずな》はマナコストが7ですが、同等の効果を持つ《明日の標》は8コスト。
《運命のきずな》は7コストでありながら青デッキでは多くのプレイヤがー好んで採用しています。
TCGにおいて「追加のターンを得るメリット」は計り知れません。追加のドローによるハンドアドバンテージはもちろん土地、クリーチャーアンタップ、二度目の攻撃等々凄まじいアドバンテージを得ることができます。これらのアドバンテージがたったの2マナで得られます。
ちなみに《ブラックロータス/Black Lotus》を1ターン目に使うことで《タイムウォーク/Time Walk》も1ターン目に使うことが可能です。
《タイムウォーク/Time Walk》《ブラックロータス/Black Lotus》はいわゆる”イラストアド”の面からも人気が高いカード。カードの性能だけでなく、カードデザインの美しさそのものもパワー9の中で飛び抜けていると言えます。
アルファ | 150万円 |
ベータ | 50万円 |
アンリミテッド | 25万円 |
《アンセストラルリコール/Ancestral Recall》
Ancestral Recall (青)
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを3枚引く。
今は1.5コストにつき1ドローが多く、1コストで3ドロー可能な《アンセストラルリコール/Ancestral Recall》の性能は飛び抜けています。
デメリットとなる効果が特に存在しないことも特徴で、1コストで3ドローを無条件に得られる《アンセストラルリコール/Ancestral Recall》はヴィンテージ環境では必須。
1コストで3枚ドローする効果は「プレイヤー1人」を対象とするものであり、自分自身を対象にすることも、相手を対象にすることも可能。対戦相手を対象とする場合は3ドローでデッキ破壊を狙うことができます。
アルファ | 120万円 |
ベータ | 60万円 |
アンリミテッド | 30万円 |
《タイムツイスター/Timetwister》
Timetwister (2)(青)
ソーサリー
各プレイヤーは、自分の墓地と手札を自分のライブラリーに加えて切り直す。その後、カードを7枚引く。(その後、Timetwisterをそのオーナーの墓地に置く。)
《ブラックロータス/Black Lotus》《タイムウォーク/Time Walk》らと比較すると、一見ややカードパワーの大きさが分かりづらいかもしれません。しかし、大きな可能性を秘めています。たとえば手札が1枚だけのときに使うと、単純に7枚ドローが可能です。
また、相手の手札をピーピングや手札破壊を通じて公開させたとき、強力なカードがあればこれで引き直させるということも出来ます。
アルファ | 128万円 |
ベータ | 65万円 |
アンリミテッド | 30万円 |
パワー9 Moxシリーズ
Moxシリーズは各色に1つあります。これらのアーティファクトはどれも0マナで設置でき、共通効果は「タップすると特定の色マナを1つ出す」というもの。1ターン目から0コストで出せて、繰り返し使えて、マナを生み出す上に土地ではないため「1ターンに1枚しか出せない」という土地の制約に引っかかりません。
1ターンに何枚も出すことができて、マナを生み出せることから莫大なマナ加速を実現します。《ブラックロータス/Black Lotus》のような爆発性はありませんが、0マナのマナクリーチャーというだけでも破格です。
Mox Pearl
Mox Pearl (0)
アーティファクト
(T):(白)を加える。
アルファ | 120万円 |
ベータ | 65万円 |
アンリミテッド | 35万円 |
Mox Sapphire
Mox Sapphire (0)
アーティファクト
(T):(青)を加える
アルファ | 120万円 |
ベータ | 65万円 |
アンリミテッド | 34万円 |
Mox Jet
Mox Jet (0)
アーティファクト
(T):(黒)を加える。
アルファ | 120万円 |
ベータ | 65万円 |
アンリミテッド | 34万円 |
Mox Ruby
Mox Ruby (0)
アーティファクト
(T):(赤)を加える。
アルファ | 119万円 |
ベータ | 65万円 |
アンリミテッド | 35万円 |
Mox Emerald
Mox Emerald (0)
アーティファクト
(T):(緑)を加える。
アルファ | 120万円 |
ベータ | 65万円 |
アンリミテッド | 34万円 |
パワー9の総額はパジェロよりも高額?
パワー9を全て集めた場合、総額はいくらになるのでしょうか。パワー9の総額・価格に関連して、有名なエピソードにTBS「東京フレンドパーク」に格闘家・佐竹雅昭氏が出演した際の逸話があります。
M:tGコレクターである佐竹雅昭氏は「東京フレンドパーク」に出演した際、番組内でチャレンジするダーツの景品として《ブラックロータス/Black Lotus》と《アンセストラルリコール/Ancestral Recall》を指定しました。司会の関口宏氏の発言によると、佐竹氏が指定した《ブラックロータス/Black Lotus》と《アンセストラルリコール/Ancestral Recall》の総額は10万円だったそうです。
佐竹氏は当初、アルファ版のパワー9全種を景品として希望していたそうです。しかしアルファ版パワー9全種の総額が「東京フレンドパーク」の一等賞に当たるパジェロよりも高額だったことから、佐竹氏の希望はスタッフによって却下。妥協して《ブラックロータス/Black Lotus》と《アンセストラルリコール/Ancestral Recall》の2種のみが景品となりました。この2枚であれば当時の相場で10万円であり、番組の下位の景品よりも安価であったことから希望が通ったそう。
佐竹氏は番組内で景品を当てることができず、後日持ち主と個別に交渉し《ブラックロータス/Black Lotus》《アンセストラルリコール/Ancestral Recall》を購入したとのこと。
パジェロの価格の目安は、おおよそ300万円〜500万円です。もしもアルファ版の《ブラックロータス/Black Lotus》をこの時入手していれば、2019年現在であれば1枚でパジェロを超える価値に到達していたことでしょう。パワー9の市場価値の高騰ぶりがよくわかるエピソードです。