遊☆戯☆王映画4作品一覧&まとめ!全作品レビュー・感想・あらすじ紹介

劇場版1作目『遊☆戯☆王』


「遊☆戯☆王」劇場版一作目は、1998年にテレビ朝日系列で放映された東映アニメーション制作「遊☆戯☆王」の映画版。1999年春、東映アニメフェアの一環で公開された30分の短編作品です。

原作の「学園編」から「TRPG編」までを題材としていることが最大の特徴。2000年放映開始「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」がカードゲームに特化した内容であることとは対照的に、原作漫画の「闇のゲーム」にほぼ特化。カードゲーム「M&W」が登場する回もあるものの、その後のアニメ作品と比較するとルールの作り込みやダメージ計算は大雑把な仕上がり。

「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」およびその後のシリーズ作品とは、ストーリー上のつながりも設定上のつながりも存在しません。

あらすじ


東映アニメーション制作「遊☆戯☆王」で描かれた最初の遊戯VS海馬戦の後日談。気弱でデュエルが弱い少年「青山翔悟」が偶然手に入れたレアカード《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》を巡る遊戯と海馬の再戦を描きます。

感想

僕も戦う・・・行け!僕のレッドアイズドラゴン!!

東映版「遊☆戯☆王」は1998年のアニメシリーズと比較して絵柄がシャープになり、より原作に近づいた仕上がり。

《ブラック・マジシャン》《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》など主役級のモンスターが多数登場する一方で、バンダイ版「遊☆戯☆王」カードをベースとしており、現行の遊戯王OCGとはルールやカードプールが大きく異なります。

特に大きな違いは《ブルーアイズ・アルティメット・ドラゴン》がまだ存在していないこと。劇場版では《邪悪なる鎖》というカードを使用し、《青眼の白龍》を3体連結させてデュエルを行なっています。


30分という短い尺の中で作品がコンパクトにまとまっており、「青山翔悟」の人間的成長をひしひしと感じ取ることができる一本。勝利の可能性を信じて戦う遊戯の姿を見て奮い立つ「青山翔悟」が「僕も戦う・・・」と決意。《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》が咆哮する場面は名シーン。

版権の問題から、2020年現在も発売されているのはVHS版のみ。未DVD・Blu-ray化のままであり、Netflixをはじめとする各種配信サービスでも視聴することができない貴重な作品。2020年1月現在、本作のVHS版は7000円を超えるプレミア価格で取引されています。

遊戯王20周年を期に版権がクリアとなり、ソフト化や配信がスタートすることを期待したいところです。

劇場版2作目『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 光のピラミッド』


『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 光のピラミッド』は、2004年に全米公開した映画『Yu-Gi-Oh!THE MOVIE』の日本向けパッケージ。全米で急速に人気が拡大していた「遊☆戯☆王」の、アメリカ展開向けに制作された劇場用作品です。
全米公開規模は2411館と大規模で、興行収入はおよそ1977万ドル。アメリカで公開された日本映画としては『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕』に次ぐ歴代3位の座を長らく保持。2019年に『ドラゴンボール超 ブロリー』に3位の座を譲るものの、現在でも歴代4位の記録。


日本国内では劇場公開が無く、招待客向けの試写会とテレビ放映、そしてパッケージ化のみ。パッケージ版はDVDのみで、Blu-rayや配信リリースは行われていません。2020年現在、DVDは廃盤となっており東映版劇場版「遊☆戯☆王」と並び、今日では視聴が難しい一作です。

あらすじ


舞台はバトルシティ編終了後の童実野町。三枚の「神のカード」を入手した遊戯はデュエルキングの称号を手にしています。海馬は遊戯を倒すべく、ペガサスのもとを訪ね、最強のカード『青眼の光龍』『光のピラミッド』を求めます。一方、エジプトの墓所に眠っていたアヌビスが復活。『青眼の光龍』『光のピラミッド』を入手海馬はアヌビスに支配され、遊戯との戦いに身を投じます。


千年パズルの完成から物語がスタート。本作は3枚の神のカードを持ち、最強のデュエリストとなった遊戯に挑む海馬に焦点が当てられます。遊戯に勝利すべく貪欲に力を求める海馬。しかし、海馬はアヌビスに支配されてしまいます。

感想

全米公開向け作品として、101分の尺の中に「これでもか」と盛り上がるポイントが組み込まれた良作です。劇場版4作目『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』に匹敵する、遊戯王映画の傑作に位置付けられる作品でしょう。

『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』と本作の共通点は、物語をドライブする存在が遊戯ではなく、海馬であること。

『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』では原作漫画最終回でイニシエーションを済ませることができなかった海馬が、呪詛じみた執念でアテムの復活を目指す姿が描かれます。

一方で『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 光のピラミッド』では3枚の神のカードを持つ遊戯に対抗すべくペガサスの元を訪ね、最強のカードを入手する海馬の姿が見られます。

より強くなるために、生々しく努力を重ねながらも、アヌビスに支配されてしまう等身大の海馬の有様が印象的です。強さを求めながら、隙が多く、しかし闇に支配されきってしまうわけではなく、もがき苦しむ海馬の姿は非常に印象的。

《ブラック・マジシャン・ガール》を始め、要所要所での人気女性キャラクターの描きこみも魅力的。海馬を中心とするキャラクターの描きこみと無駄のない構成、ファンサービスのバランスが取れた良作です。

劇場版3作目『10thアニバーサリー劇場版遊☆戯☆王〜超融合!時空を越えた絆』


劇場版3作目『10thアニバーサリー劇場版遊☆戯☆王〜超融合!時空を越えた絆』は、遊戯王シリーズの10周年記念作品。『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』、『遊☆戯☆王5D’s』の3代の主人公が集結するクロスオーバー作品として企画され、2010年1月に日本公開。2011年2月より全米公開。

劇場版1作目の『遊☆戯☆王』は東映アニメーション制作。2作目は全米公開向け作品。よって3作目の本作はテレビ東京・NAS・ぎゃろっぷ制作作品として、初の国内向け『遊☆戯☆王』劇場用作品となりました。

あらすじ


未来から消えた敵「パラドックス」により、不動遊星の《スターダスト・ドラゴン》が強奪。遊星は時空を超え、遊城十代と武藤遊戯と会い、協力関係を築き、「パラドックス:に挑みます。

感想

上映作品が49分と短く、テンポよくサクサクと進む展開が印象的。「《スターダスト・ドラゴン》の強奪」「遊城十代と武藤遊戯との対面」「パラドックスとの対決」と見所が各所に存在し、遊星のバイクアクションや建物の崩壊など作画のパワーによる緊張感の演出も好印象。作画のレベルは全体的に非常に高いです。


立体3D作品であることもポイント。

本作の3D映像は2Dで制作された映像を、株式会社キュー・テックによって3Dに変換する形で作成されました。国内での公開時は、ワーナー・マイカル・シネマズ、TOHOシネマズ、T・ジョイ、ユナイテッド・シネマ等、3D映像に対応した劇場で3D上映が行われました。3Dで視聴すると、よりキャラクターの感情が臨場感に溢れて伝わります。

一方で2Dで視聴する場合は、上映時間の短さと展開の駆け足感の強さから、やや物足りなさが否めません。「歴代キャラクターの共演」「3D映像」という2つの要素を中心に、「クロスオーバー・イベント」として楽しむのに最適な一本です。

劇場版4作目『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』


劇場版4作目『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』は2016年4月公開。2000年放映開始「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」とのストーリー上の繋がりはなく、原作漫画「遊☆戯☆王」の正当な続編に位置付けられています。脚本を作者・高橋和希氏が担当しており、原作漫画の最終回から物語がスタート。上映時間が130分と長いことも特徴で、「遊☆戯☆王」劇場作品として初の長編映画でもあります。

映画感想『遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』原作続編として完璧な劇場版!
2016年4月に公開された遊戯王20周年記念作品『遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』。 原作終了12年を経て、20周年アニバーサリーとして製作された本作は「原作漫画の正当な続編」に位置付けられます...

あらすじ


物語のスタートは原作漫画の最終回直後。もう一つの人格「アテム」と遊戯は別れを告げ、千年アイテムの封印にも成功しています。しかし唯一、海馬だけはアテムの冥界行きを見届けておらず「勝ち逃げ」されたまま。海馬は再びアテムを蘇らせ、デュエルを行い、勝利を収めるべく躍起になっています。
そんな遊戯・海馬たちの前に、謎の少年「藍神」が姿を現します。
本作のあらすじはこちらの記事で解説しています。
https://mable.hacca.jp/?p=2015


遊戯王のデュエリストとしても知られる俳優・松坂桃李さんは本作のエピソードを「遊戯王初のラブストーリー」と形容しています。松坂桃李さんによる本作のレビュー・感想はこちらの記事にまとめています。

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感想

「遊☆戯☆王」劇場作品としても、原作漫画の続編としても「パーフェクト」と位置付けて良い一本です。原作漫画においてもアニメシリーズにおいても、遊戯とアテムは「闘いの儀」を終え、イニシエーションを完了。アテムは冥界に帰り、武藤遊戯は人間的な成長を遂げています。感動的なエンディングを迎えた「遊☆戯☆王」において、アテムの復活はともすれば「最終回の感動を無駄にしてしまう可能性がある悪手」。しかし、アテムが登場しない「遊☆戯☆王」の映像作品は視聴者にとっては物足りないのもまた事実でしょう。アテムの大胆不敵さやデュエルのスタイルが「遊☆戯☆王」の魅力を大きく下支えしているからです。


では、『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』はどのように原作漫画の「パーフェクト」な続編を作り上げたのでしょうか。詳細なレビューと感想はこちらの記事にまとめています。

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