スイスドロー(スイス式トーナメント)とは?ルール・形式・概要解説!

将棋やチェス、e-Sports、遊戯王OCGなど各種大会の順位決定方法として有名なものの1つに「スイスドロー(スイス式トーナメント)」が存在します。

スイスドロー(スイス式トーナメント)はチェスのように引き分けが多いゲームや、カードゲームのように運の要素が大きいゲームの順位決定に用いられる順位決定方法の一種です。

今回はスイスドロー(スイス式トーナメント)の形式について解説します。

スイスドロー(スイス式トーナメント)とは

スイスドロー(スイス式トーナメント)とは「勝ち抜き式トーナメント」と「総当たり式リーグ戦」を組み合わせた大会形式です。

勝ち抜き式トーナメントの場合、参加者Aと参加者Bが対戦。参加者Bが敗戦した場合、参加者Aが勝ち上がり。参加者Bは以降のトーナメントには参加できません。一方スイスドロー(スイス式トーナメント)の場合「全員が同じラウンドを戦い、順位を決める」のが特徴です。

スイスドロー(スイス式トーナメント)の基本の形式は以下の通りです。

・同じ人とは2回対戦しない
・1回戦目はランダムで対戦相手が決定。2回戦目以降は敗者同士、勝者同士で試合を行う
・全勝者が一人になるまで対戦が繰り返される
・全勝者が優勝
・2位以下で同じ勝ち点同士のプレイヤーの順位決定方法は「OW%(オポネントウィンパーセンテージ)」で決定

スイスドロー形式は「全ての参加者が同じ試合数を行う」


スイスドロー形式は「全ての参加者が同じ試合数を行う」のが最大の特徴です。1対1で対戦するゲームの場合、もっとも公平な大会運営方式は総当たり。ただし現実的には、総当たりは参加人数が多くなればなるほど現実的な大会方式では無くなります。膨大な試合数が必要となることが理由。

一方、ノックアウト方式のトーナメント形式もポピュラーな形式です。しかしノックアウト制を導入した場合、あまり強くない参加者はわずか一試合で大会を後にすることになり、大会方式上、必ずしも参加者のモチベーションを高めづらいことも事実。またノックアウト制は運の要素が強いカードゲームなどとの相性が良好ではありません。なぜならどんなに強いプレイヤーでも「運」によって試合に負け、一試合目で大会を後にし、2位や3位など上位に食い込む機会さえ奪われることがあるためです。


スイスドロー(スイス式トーナメント)はランダムに決まった一試合目以降は、勝者は勝者、敗者は敗者と試合を続けます。そして全参加者が同じ試合数を繰り返し、全勝者が出るまで試合が続きます。総当たり方式と比べると少ない試合数で、トーナメント方式と同等の公平さを持って優勝者を決めることができることは本方式の最大の利点と言えます。

スイスドロー(スイス式トーナメント)が採用される大会

スイスドロー(スイス式トーナメント)は引き分けが発生しやすい大会や、運の要素が絡むゲームで採用される機会が多い形式です。また大会運営の方針として「参加者に一試合でも多く大会レベルの試合を経験してほしい」という趣旨を持つ競技でも採用されます。

e-Sports

スイスドロー(スイス式トーナメント)はe-Sportsで採用されることが多いです。代表例は「RAGE Shadowverse」。

また面白法人カヤックが運営するトーナメントプラットフォーム「Lobi Tournament」も2018年にスイスドロー(スイス式トーナメント)への対応をはじめ、Lobvi Tournamentを使用して、アマチュアレベルの大会運営でも採用機会が増えました。

チェス

チェスは引き分けが多いゲームのため、トーナメント方式では必ずしも決着が着きづらく、スイスドロー(スイス式トーナメント)が大会運営との相性が良好です。

遊戯王カード

遊戯王OCGではトーナメント形式につぐポピュラーな形式

遊戯王カードの大会では、トーナメント形式につぐポピュラーな形式がスイスドローです。世界大会ではベスト16進出者をスイスドローで決定した後、ベスト16以降の大会方式をトーナメント形式に切り替え、優勝者を決めることが多いです。

参加者にとってはスイスドロー形式の場合、こなせる試合数が増えるため、経験値が増えます。大会運営サイドにとってはトーナメント形式に比べて試合数が増えるため、運営コストがかさむという課題はありますが、スイスドローを採用することで「参加者の満足度を高めている」という側面があります、

スイスドロー(スイス式トーナメント)の順位の決め方

スイスドロー(スイス式トーナメント)の順位の決め方は、一言で言えば「勝ち点方式」です。多くの場合、スイスドロー(スイス式トーナメント)では下記のような勝ち点計算が導入されます。

スイスドロー(スイス式トーナメント)の勝ち点計算

勝ち:勝ち点3

引き分け:勝ち点1

負け:勝ち点0

たとえばスイスドロー形式で、全6試合を行った場合、全勝者は勝ち点18を得ます。
では2位のプレイヤーはどのように決まるのでしょうか。2位のプレイヤーが5勝1敗の場合、勝ち点は15。勝ち点15で並ぶ場合の、順位の付け方はやや複雑です。同じ勝ち点で並ぶタイ選手の順位をどのように決めるかは、後ほど説明します。

途中でドロップアウトすることも可能

ちなみにスイスドロー方式は全選手が同じ試合数をこなしますが、もしも途中で大会を離脱したい場合はドロップアウトも可能です。

スイスドロー(スイス式トーナメント)のメリット・デメリット

・メリット:途中で敗退する選手が居ない
・メリット:公平性が高い
・デメリット:最終戦の盛り上がりに欠ける
・デメリット:同じ順位のタイ選手が増えすぎることがある

メリット:途中で敗退する選手が居ない

途中で敗退する選手が居ないことは最大のメリットです。特にe-Sportsなど歴史が浅い競技の場合、大会環境の盛り上がりは競技そのものの将来性を左右します。熱狂的なプレイヤーが少しでも長い時間、該当の競技に高いレベルで関われる環境を担保することは重要です。意外と「周囲の友人とはレベルが釣り合わないが、大会環境では結果が出ない」というプレイヤーは多いもの。大会に出ても一試合しかこなせないが、友達とプレイするとひたすら自分が勝ってしまう・・・という状態ではプレイヤーは飽きてしまうでしょう。大会に長く関われる環境とは、実はとても大事です。

メリット:公平性が高い

トーナメント形式と同等に公平性が高いこともメリットです。ここまでの説明を読み、もしかしたらスイスドローに複雑な印象を持った方もいるかもしれません。しかしスイスドローの基本は、あくまで「全勝者=優勝者」というシンプルなものです。

デメリット:最終戦の盛り上がりに欠ける

スイスドローはトーナメント方式のように「決勝戦」の盛り上がりがないという批判があります。管理人は個人的にはこの意見に反対しています。なぜなら「勝者は勝者と戦う」という原則に乗っ取れば、スイスドローでは全勝同士の対戦が頻発し、レベルの高い試合が生まれるからです。しかし一部では「盛り上がらない」という声もあるとのことです。もしもあなたが大会運営者で、スイスドローに反対する声がある場合、その原因を議論してみるのは良い機会になるかもしれません。

たとえば「最終戦に開かれる試合は、決勝戦一試合のみであるべき。全ての参加者が一試合のみに注目すべきだ」という意見は、1つの意見として有力でしょう。こうした意見を大会運営者が持つ場合は、ベスト8や16まではスイスドロー、以降はトーナメントという遊戯王CSのようなルールの導入が考えられます。

デメリット:同じ順位のタイ選手が増えすぎることがある

同じ順位のタイ選手が並びすぎて、順位づけが困難。大会運営コストがかさむという批判もしばしばあります。スイスドローは公平性を担保し、弱小選手でも試合経験を積めるメリットがある一方で、トーナメントに慣れた運営者にとってシンプルさに欠けるのは事実です。その大会が重視する価値が「公平性」「選手の成長」なのか、「一発勝負の緊張感」なのかは大会企画段階で検討すべきです。

スイスドロー(スイス式トーナメント)で同位タイ選手を減らすには?

「OW%(オポネントウィンパーセンテージ)」

同じ勝ち点のタイの選手同士で順位を決めるため、用いられる指標の1つが「OW%(オポネントウィンパーセンテージ)」。OW%は{あなたの対戦相手の勝ち点÷(3×試合数)}の平均で算出されます。あなたが対戦した相手が獲得した勝ち点が大きければ大きいほど、あなたのOW%も上昇し、タイで並んだ場合に有利になります。

2本先取にする

同じ2勝で勝ち点6だとしても、1試合目と3試合目で勝利したのか、1試合目と2試合目で連勝したのかによって評価を分けることも可能です。2本先取の評価を高める場合は、連勝の評価を高くすることで順位が決められます。

独自の同位タイの際の順位決定方法を導入する

同位タイの場合はじゃっm剣にすると行ったシンプルな決め方も、大会独自方針としてありでしょう。