今回はMTGとデュエマの関係を解説します。
マジック:ザ・ギャザリングとデュエル・マスターズの関係
マジック:ザ・ギャザリングとデュエル・マスターズの関係は、前者が兄・後者が弟。マジック:ザ・ギャザリング(M:tG)をベースに開発された、日本向けのTCGがデュエル・マスターズです。
マジック:ザ・ギャザリングとデュエル・マスターズは兄弟関係にあり、時折、公式でもコラボが行われることも。
マジック:ザ・ギャザリングとデュエル・マスターズの特徴
タイトル | プレイヤー層 | プロ制度 | 海外展開 | ルール |
M:tG | 大人 | 有り | 有り | 複雑 |
デュエル・マスターズ | 10代前半〜大人 | 有り | 無し | シンプル |
デュエル・マスターズはM:tGをベースに開発されたTCG
デュエル・マスターズはM:tGをベースに、よりティーン向けに開発されたTCGです。M:tGと比較すると「よりルールがシンプルで、1手1手の行動が勝敗に与える影響が大きい」という特徴を持ちます。
例えばもっとも大きな違いの1つに、土地カードの有無があります。M:tGには土地カードが存在し、デュエマには存在しません。代わりに「どのカードでも土地として使える」のがデュエマの面白さ。よってM:tGで、特に初心者が陥りやすい「土地事故」「カードが手札に揃っているのに土地がないから出せない」という状態を無くすことに成功しています。
マナカーブについてはこちらの記事でも解説しています。
漫画「デュエル・マスターズ」の題材は連載当初M:tG
漫画「デュエル・マスターズ」の題材は連載当初M:tGでした。1999年の連載開始時にはマジック:ザ・ギャザリングの漫画でしたが、途中から突如、題材がデュエマに変更になります。
なぜ漫画「デュエル・マスターズ」の題材はM:tGからデュエマに変更された?
漫画「デュエル・マスターズ」は1999年にコロコロコミックで連載開始。連載開始から3年後、2002年に題材をマジック:ザ・ギャザリングから、同年に開発されたTCG「デュエル・マスターズ」に変更します。この大きな方針転換と同時に漫画「デュエル・マスターズ」はアニメ化も決定します。
上の画像は漫画「デュエル・マスターズ」で、題材がM:tGからデュエル・マスターズへと変更される瞬間の1コマ。今もデュエマ、M:tGファンの間で語り草となっているコマです。
なぜ「デュエル・マスターズ」は題材を、連載途中でM:tGからデュエマに変更したのでしょうか。
マジック:ザ・ギャザリングがアメリカで登場したのは1993年。翌年ごろから日本国内でもボードゲームやテーブルトークRPGの販売店を中心に、輸入販売が行われるようになり、コアな人気を博します。
1996年、日本初の国産TCGとして「ポケモンカードゲーム」の販売が開始。1996年には週刊少年ジャンプにて漫画「遊戯王」の連載が開始。劇中に登場するTCG「マジック&ウィザーズ」が人気を呼び、1999年には遊戯王OCGの販売がスタートします。ポケモンカードゲームと遊戯王OCGは、共に10代前半の子供達の間で爆発的な人気を呼び、日本にTCGブームを巻き起こします。
日本初の国産TCG「ポケモンカードゲーム」は1999年、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストによりアメリカでの商品展開がスタート。ウィザーズ社の当初の予測を10倍上回る、好セールスを記録します。
1999年のポケモンカードゲームのアメリカ進出の成功をきっかけに、ウィザーズ社は日本のティーン向けのTCG開発に進出。タカラトミー社と提携し、カードゲーム「デュエル・マスターズ」の開発をスタート。マジック:ザ・ギャザリングをより大人向けのTCG、デュエル・マスターズをより子供向けのTCGと位置付け、子供向けのプロモーションに適している「コロコロコミック」での連載作品をデュエル・マスターズに切り替えたと考えるのが自然でしょう。
コロコロコミックで連載されていたMTG題材時の連載一覧まとめ
第1話
第2話
第3話
第4話
第5話
M:tGとデュエマの違い
インスタント・タイミングの有無
インスタント・タイミングとはM:tGのルールの一種で「インスタント(=即座に唱えることができる呪文)」を唱えられるタイミングを指す言葉。インスタントはM:tGに置いて「唱えることができないタイミングの方が少ない」ほど柔軟に使用することができる呪文です。
よってM:tGではインスタントを、相手が何らかの呪文や能力を発動した時に割り込みで発動したり、相手のターンの際に使うことが多いです。一方でデュエル・マスターズにはインスタント・タイミングが存在しません。
M:tGのインスタントは互いのプレイヤーがルールを理解していないと、効果の打ち消しなど処理がやや複雑になる側面も。デュエマの方がシンプルなルールに仕上がっていると言えるでしょう。
土地カードの有無
M:tGには土地カードが存在し、デュエマには土地カードが存在しない代わりに、全てのカードを土地として使用することができます。M:tGではデッキ構築の段階で土地の採用枚数をマナカーブに沿い、厳格に計算しておく必要があります。なぜなら土地は単体ではこれといった能力を持つカードではなく、採用枚数が多すぎても少なすぎても「事故」の原因に。思うようにデッキが回りません。
一方でデュエマは、全てのカードを土地として運用でき、仮に手札に不要なカードが存在しても土地やエネルギーとして使うことができます。多少マナカーブがいびつでも十分に大会で好成績を収めることができるのは、コストが大きく、普通なら事故の原因になるカードでも有効活用しやすいからです。
フォーマット
フォーマットとは「使用可能なカードを定めるレギュレーション」のこと。M:tGでは主なフォーマットに「スタンダード」「モダン」「レガシー」が存在します。M:tGのフォーマットは下記の記事で詳しく解説しています。
一方、デュエマでは中心的なフォーマットは「殿堂フォーマット」。遊戯王OCGと同様に禁止カードを除いて、全てのカードが使えるフォーマットが主流です。ただし大会環境などでは変則レギュレーションとして、使えるカードプールが最新パックのみなどに制限されることもあります。
M:tGとデュエマ、今から始めるならどっち?
プロを目指すならM:tG
TCG業界でプロを目指すなら、M:tGがおすすめです。M:tGは1993年に発売され、世界的に見ても非常に歴史が長いカードゲームの1つ。海外大会も多く、賞金額も他のTCGと比べると高額な傾向があります。またM:tGは歴史が長く、コアなファンが多い分、プロ選手の息が長い傾向もあります。ベテランになってからも長く活躍できるでしょう。
デュエル・マスターズは二度、海外展開が試みられましたがいずれも撤退済み。もちろん国内でのプロ制度は整備されており、「DUELMASTERS PRO LEAGUE」は大きな盛り上がりを見せています。ただしゲームタイトルとしての知名度が、海外においてM:tGよりも劣ることは否めません。もしあなたがM:tG以外のTCGで、海外で試合をしたいならばポケモンカードゲームか遊戯王OCGがおすすめです。
海外ユーザーと対戦したいならM:tG
海外ユーザーと対戦したいなら、M:tGがおすすめです。「MTGアリーナ」「Magic Online」と2通りのオンライン環境が整っており、前者は日本語化も完了しています。
ルールの覚えやすさを優先するならデュエマ
ルールの覚えやすさを優先するならデュエマがおすすめです。デュエル・マスターズはM:tGのルールを簡素化しブラッシュアップして作られたことから、ルールはM:tGの良い部分を残しつつも合理化されています。
カードデザインはどちらも美しい
カードデザインを基準に選ぶのであれば、どちらもおすすめです。M:tGのカードデザインは絵画的。デュエマのカードデザインはタカラトミー社が開発していることもあり、玩具的。ホログラムや奇抜なデザインを楽しむことができます。