遊戯王OCGやマジック:ザ・ギャザリングをはじめとする「トレーディングカード(トレカ)」は「子供向けのカードゲーム」の枠にとどまらず、コレクション性の高さやカードデザインの美しさ、そしてレアカードの希少性が「資産」として認められつつあります。
そのためトレカはせどりや転売の対象になることも増えています。今回はトレカの投資対象・転売対象としての魅力や、実際に売れているカード。おすすめアプリなど、トレカ転売(せどり)の始め方を1つずつ見ていきます。
トレカ転売(せどり)は儲かる
結論から言えば、トレカ転売(せどり)は儲かります。
高騰するトレーディングカードには、下記のいずれかの特徴に該当するケースが多いです。各項目を理解して仕入れ対象となるトレカをリサーチすれば、利益を上げること自体は決して難しくはありません。
- 大会優勝デッキを中心に、環境上位デッキに採用されている
- イベント限定品や発行部数が限られた雑誌付録など発行枚数が限られている
- イラストアドが取れる
ただし、トレカはカード一枚あたりの単価が低いです。回転率が高いトレカのシングルカードの、販売価格目安は「2000円以下」と覚えておきましょう。利益率が20%とした場合、2000円のトレカが売れた際の利益は400円。薄利多売になりやすいのがトレカ仕入れの欠点です。
そのため、トレカ転売でまとまった利益を得るにはコツや「明確な仕入れ方針」が必要です。後述するとおり、まずは「売り上げ10万円」を目標に転売を始めてみましょう。
なぜトレカ転売(せどり)は儲かるのか?
トレカ転売(せどり)が儲かる理由は、大きく分けて2つです。
1つ目は、転売の仕入れ対象として「ローリスク・ローリターン」であること。トレーディングカードの一枚あたりの仕入れ価格は安価です。相場感覚が掴めるまでは「300円のカードを仕入れて500円で売る」といった形で試運転的に仕入れを行って経験を積むことがしやすく、なおかつ相場が大きく崩れた際にも金銭的なダメージが小さいです。
2つ目は、保管場所が狭くとも問題ないこと。大型家電やゲーム機を仕入れ対象とした場合、梱包や発送にかかる手間が大きい上、広い作業スペースが必要。自室に置ききれない場合や「同棲中」「シェアハウスに住んでいる」など、部屋に他の人も住んでいる場合は作業ができません。作業スペースとなるアパートを別に借りる必要も出てきます。ダンボールやガムテーム、梱包材や郵送費用もかさみます。
一方、トレカ転売であれば保管スペースがほぼ不要のため、お財布に優しいです。
トレカ転売を始めるなら「売り上げ10万円」を最初の目標にしよう
トレカ転売を始めるならば、まずは「売り上げ10万円」を最初の目標としましょう。単価が基本的に低いトレカ転売では、10万円の売り上げを達成するのは最初のうちは簡単ではありません。
1万円の高額レアカードを10枚売ることで達成するのか。1000円のカードを100枚売ることで達成するのか。仕入れ方針を固めて行動することで、着実に売り上げを達成していきましょう。利益率の目安は20%〜30%以上をキープすることがおすすめですが、最初のうちは仕入れの経験を重ねることを優先すべき。多少利益率が低くとも幅広いラインナップを扱い、ラインナップごとの回転率や仕入れ〜販売までのスピード感の違いを体感してみるのも良いでしょう。
トレカ転売は違法?
近年、チケット転売を中心に転売行為を規制する動きも見られます。代表的なケースが2018年に制定された「チケット転売規制法」(正式名称「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」)。
こうした動きが拡大すると、トレカ転売も違法ではないかと気に掛かる人もいるでしょう。トレカ転売は違法なのでしょうか。
基本的には違法ではない
結論から言えば、基本的にトレカ転売は違法ではありません。転売とは商品を仕入れ、仕入れた商品をより高く販売し、差額で利益を得る行為です。世間一般の物販業のビジネスモデルは、いずれも「転売」に該当します。よって転売そのものは違法ではありません。
ただし中古品のトレーディングカードの販売を行う際には、古物商許可の申請を行う必要があり、未申請の状態で販売を行うと違法となります。なお「古物」とは「一度でも他人の手に渡ったもの」を意味しており、店舗で新品未開封の商品を仕入れて転売する場合も、その商品は「古物」に該当します。
トレカ転売が違法となるケース
トレカ転売が違法となるケースを1つ1つ詳しく見ていきましょう。
古物営業法違反
古物営業法とは、中古品の売買業務に関する法律で、盗品の売買防止を目的に制定されたものです。リサイクルショップの運営など中古品を扱う業者は、都道府県の公安委員会に許可を得る必要があり、許可なく営業した場合には逮捕される可能性があります。
届出のやり方が分からなかったり、申請の時間が取れない場合には行政書士に手続きの代行を依頼するのもおすすめです。
迷惑防止条例違反
各都道府県や市町村が定めている迷惑防止条例です。主な迷惑行為には痴漢、盗撮、客引き、ダフ屋などが該当します。
偽物の販売
トレーディングカードの偽造品を販売した場合は、登録商標がまだ存続しており、ロゴマークが同一、または類似。なおかつ商標の指定商品と、偽造品が同一または類似する場合に「商標権の侵害」と見なされます。
トレカ転売(せどり)で稼ぐための考え方
トレカの転売はローリスク・ローリターンで始めることができる転売であり、古物商許可を事前に取得して始めることで違法性もありません。では実際にトレカを転売して、まとまった利益を確保するにはどのような点を意識すれば良いでしょうか。稼ぐための考え方を見ていきます。
高価格帯商品中心
まずは扱う商品の価格帯を意識します。トレーディングカードにはマジック:ザ・ギャザリングの「パワー9」、遊戯王OCGの《光の創造神 ホルアクティ》をはじめとする1枚10万円〜自動車一台相当(数百万円)の希少なカードが存在します。
こうした再録が禁止されている、もしくは再録の可能性が低い限定品やレアカードを中心に仕入れを行い、中長期的な利益の確保を狙うのが高価格帯商品中心の仕入れです。
例えば《光の創造神 ホルアクティ》は全世界に10000枚しか流通しておらず、一時期は2万円程度で入手できたものの、2017年には6万円前後。2020年現在は通知書付きで保存状態の良いカードは10万円〜最高価格20万円前後で取引されています。
こうした価格帯の商品を中心としたトレカ転売は、厳密に言えば「転売」よりも「投資」に近いでしょう。
低価格帯商品中心
低価格帯商品の仕入れは、短期的に高騰しているトレカのシングルカードやボックス、限定カードを仕入れて転売するもの。
代表的な仕入れスタイルは、遊戯王OCGの限定カードが付属する漫画雑誌「Vジャンプ」を定価580円で発売日前に予約するというもの。Vジャンプ限定の遊戯王OCGのカードは、《リンクリボー》をはじめ大会環境でも使用できる強力なカードが多く、高騰傾向にあります。
580円で仕入れたVジャンプを、冊子を含めて最低価格1000円程度で販売できれば送料を差し引いても利益が出ます。予約段階であらかじめフリマアプリなどで販売しておき、発売日当日に書店で回収を行えば利益が出ます。
トレカ転売(せどり)のメリット
保管場所を取らない
繰り返しにはなりますが、トレカ転売(せどり)の非常に大きなメリットは「場所を取らない」ことです。既に結婚している方や同棲中の方、シェアハウスに住んでいる方でも引き出し付きの机が1つとパソコンさえあれば、保管〜出品〜発送まで可能です。
配送料が安上がり
配送料の安さも嬉しいポイント。家電やゲーム機など大型商品を大量に扱う転売・せどりでは、配送料の高騰が問題です。大型商品の場合、ダンボール一箱の配送に1000円〜2000円かかることも珍しくはありません。トレーディングカードではれば郵便局やコンビニで購入できるレターパック一枚に、大量のカードを詰め込むことが可能です。
配送料の安さは、転売の規模を拡大していくときにスケールメリットとして現れます。例えば遊戯王OCGやポケモンカード、デュエル・マスターズといった日本発祥のTCGは海外にもファンが多く、国内で流通する日本語版のレアカードは海外ファンにとっては極めて希少なアイテムです。つまり日本国内で仕入れを行い、海外に輸出するといった拡大が考えられます。
トレカであればダンボール一箱で大量のシングルカードを発送できるため、高騰しがちな海外への配送料もさほど心配いりません。家電などを中心とする転売・せどり業者に比べて、優位性を獲得しやすいです。
仕入れ値が安い
仕入れ値の安さもメリットです。初心者にとっては、カード一枚の仕入れからスタートできるため始めやすいです。
トレカ転売(せどり)のデメリット
薄利多売に陥りやすい
デメリットは薄利多売に陥りやすいことです。前述のVジャンプ仕入れを行う場合、一冊の利益が300円とすると、3万円の利益を得るには100冊単位の仕入れが必要です。
書店や卸業者に特別なルートが存在しない場合、地道に一冊ずつ書店で回収が必要。回収と発送作業だけで1日が終わる可能性があり、そうして得られた利益が「3万円」だとすると、果たして労力やかけたコストに利益が見合っているのか、不安になることもあるでしょう。
再発によるカードの資産価値低下が起きることがある
トレーディングカードのカードプールは新しいボックスやパックの登場によって、変化し続けます。ときには過去の絶版カードが復刻されることもしばしば。絶版カードが復刻されると、そのカードの資産価値は低下します。
特に高価格のカードの仕入れを行う際は、そのカードが「近年、大会環境で採用されているか」「そのカードのサポートカードや相性の良いカードが発売されるなど、復刻に向けた動きが進んでいないか」「ショップでの買取価格が低下傾向にあるなど、復刻を見越した価格設定がされていないか」など様々な指標を総合的に見ながら仕入れ判断を行いましょう。またときにはリスクが高いと判断したら、損切りを行う勇気も必要です。
トレカ転売でおすすめのカードゲーム
トレカ転売でおすすめのカードゲームの基準は「カードプールの豊富さ」「プレイヤーの年代層の広さ」「カードデザインへの評価の高さ」「海外にもファンがいるか」といった点から、総合的に検討できます。代表的な4つのカードゲームを紹介します。
遊戯王OCG
遊戯王OCGは、国内で最も販売額が大きい世界的なTCGです。2019年2月のカードゲームのタイトル別売上高で、遊戯王OCGは50億円超え。2位のポケモンカードは12億2千万と4倍の大差をつけての売り上げ1位を記録。詳細なデータはこちらの記事で解説しています。
トレカ専門フリマアプリでの出品枚数も大きく、コレクション需要が高いタイトル。一方で世界大会の盛り上がりも大きく、名実ともに国内ではNo1のカードゲームと言えるでしょう。
マジック:ザ・ギャザリング
マジック:ザ・ギャザリングは戦略性の高さとカードデザインの美しさ、芸術性の3点で人気。1990年代から人気の古参TCGであり、漫画『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』の題材ともなりました。
マジック:ザ・ギャザリングの初期の有名カード群「パワー9」は、関口宏司会「東京フレンドパーク」で格闘家・佐竹雅昭さんがダーツの商品に指定したことでも有名です。特に《ブラック・ロータス》の価格は新車同様の価格帯です。
ポケモンカード
ポケモンカードは1996年、日本初の国産TCGとして発売開始。1999年にマジック:ザ・ギャザリングを手がけるウィザーズ社によってアメリカ展開がスタートし、ウィザーズ社の予測を10倍上回る売り上げを記録。世界的なカードゲームとなりました。
近年はYouTuberらを起用したプロモーションに成功。爆発的に人気を拡大しています。
デュエル・マスターズ
デュエル・マスターズはマジック:ザ・ギャザリングと兄弟関係にあるTCG。マジック:ザ・ギャザリングとデュエル・マスターズの関係性はこちらの記事で解説しています。
実際にどのようなトレカが売れているのか?
パワー9(マジック:ザ・ギャザリング)
記事の前半部でも紹介した「パワー9」については、こちらの記事で全種類解説しています。
《ブラック・ロータス》(デュエル・マスターズ)
パワー9の象徴的な一枚である《ブラック・ロータス》はマジック:ザ・ギャザリングでは再録禁止に指定されていますが、兄弟関係にあるデュエル・マスターズで新規カードとして再登場しました。
デュエル・マスターズ版《ブラック・ロータス》は1万円を超える価格で取引が続いています。スペックや価格についてこちらの記事でまとめています。
主な仕入先
トレーディングカード転売の主な仕入先を紹介します。
カード専門店
「カードラボ」「ミント」をはじめとするカードゲームの専門店です。専門店は遊戯王OCGの大会などの開催場所を兼ねていることが多く、デュエリスト同士の繋がりもセットで作りたい方は一度足を運んでみると良いでしょう。
リサイクルショップ
「ブックオフ」「ハードオフ」などのリサイクルショップです。トレーディングカードは、特におもちゃコーナーやジャンク品のコーナーにまとめて置かれていることが多いです。カード専門店ではないため保管状態はまちまち。また必ずしも扱っているカードがレアカードという訳ではありません。稀に掘り出し物が見つかります。
フリマアプリ
トレカの仕入先として最もおすすめなのが、フリマアプリです。代表的なアプリはトレカ専門フリマアプリの「magi」。
フリマアプリでは個人のカードゲームのプレイヤーが、不要なカードを「引退品」などとして一括出品していることが多く、そのほとんどの出品は値付けが割安です。一括で仕入れたカードを一枚一枚再出品することで利益を得ることが可能です。
主な販売先
フリマアプリ
magiを中心とするフリマアプリは、カードの仕入先だけでなく、販売先にもなります。例えばリサイクルショップで仕入れたカードを、magiで売るといったことができます。
amazon
トレカ転売の規模を拡大する場合は、amazonに出品者として登録することを強くおすすめします。理由はamazonがセラー向けに運営している「FBA」サービスの存在。FBAサービスではamazon倉庫に一括して出品する商品を発送すると、以後の購入者への発送や返品受け付けを全てamazonが行ってくれます。
儲かるトレカの探し方
ボックス狙いの場合
イラストアド狙いの場合
トレカ転売を始める上で用意しておくべきツール・アプリ
amazon出品用アカウント
amazon出品用アカウントには登録しておきましょう。amazon出品用サービスはこちらから登録できます。
クレジットカード
トレカ仕入れにはまとまった金額が必要です。例えば20%の利益率で、月に20万円の利益が欲しい場合は最低でも100万円の仕入額が必要です。100万円の現金で仕入れを行うのは、現金の紛失リスクが危険視されます。クレジットカードならば紛失した場合も、すぐに使用の差し止めが可能。安全性の面でも、クレジットカードは確実に1枚は持っておきましょう。
magi(トレカ専門フリマアプリ)
仕入れ開始直後は実店舗に足を運んでいたとしても、効率化と拡大のためにはフリマアプリは欠かせません。magiはトレカ特化のフリマアプリのため、トレカ転売をするならばダウンロードしておきましょう。
管理ツール
amazonで販売を拡大した場合、仕入額と利益額の管理が極めて煩雑です。マカドなどamazonでの売り上げ管理ツールを導入することで、管理を簡単にしましょう。
古物商許可の取得も必要
繰り返しになりますが、トレカ転売を行うならば古物商許可の取得が必須です。仕入れを始める前に、まずは古物商許可を取得しましょう。